Adtech NY 2017に参加して感じたマーケティングの未来
このブログではデータサイエンス話ばっか書いてますが、実は本職はウェブマーケターなので、今回はウェブマーケティングに関することを書いてみます笑
11月はじめに、会社の出張でAdtech NY 2017に参加してきました。
↓これがホームページ
その中で今後のマーケティングの流れ、マーケターとして何を習得するべきかを色々感じたので文章にしてみます。
目次
- Adtech NYとは?
- ラストタッチモデルの終焉
- マーケティングは局所的から、統合的マーケティングの時代へ
- 統合的マーケティングに必要なのは人間中心の考え方
- 最後に 一緒に何かやりたい、勉強したい、コラボしたい人いたら気軽にメッセとかください!
Adtech NYとは?
Adtech NYとはWikiによると以下↓
ad:tech is an international series of digital advertising and technology conferences and exhibitions for the interactive marketing profession. ad:tech hosts events in New York, San Francisco, London, New Delhi, Shanghai, Singapore, Sydney, Melbourne and Tokyo. The events are produced by ad:tech Expositions, LLC, which is owned and operated by DMG Events, part of Daily Mail and General Trust.[1][2]
Conference panels and educational sessions address a range of relevant subjects: online advertising strategy, performance-based marketing, emerging advertising platforms, integrated marketing, social media, search, mobile, analytics and brand marketing. Shows have a combination of high-profile keynote speakers, topic-driven panels. and workshops.
つまり、NY, サンフランシスコ、ロンドン、ニューデリとかいろいろなところでやっているマーケティングのプロフェッショナルのためのイベントです!
と言っております。
最近は東京でもありましたが、東京のセッションよりNYのセッションのほうが最先端的だったと感じております。
Adtech NY会場の雰囲気
会場はNYのマンハッタンの中心にある
Metropolitan Pavilionという場所でした。
普段の雰囲気はこんな感じ↓でちょっとクラブ感があります笑
実際行ってみたら、何故か展示会会場の中央にDJがいて回していて、
「なんでやねん!」って突っ込みましたねw
シカゴの大学にいたときを思い出しましたね笑
↓これが実際のスタート ペンシルベニア大学Whartonスクールのマーケティングの先生がファシリテーターとして紹介するスタンスでやっていたりしました。
登壇者は結構色々な分野の人がきていて
事業会社は、Microsoft, Google, Hilton, トゥーミーとかマクドナルドとか
代理店とか広告に特化しているところはちらほらで主に展示会のところにいる程度(MailChampとか)
あとはマッキンゼーとかもいましたね
今回のメインテーマ
この3つでした。Ad Fraudについては、あまり興味がないのでさくっと書きますが、
日本語だと広告詐欺といって「本来のターゲット以外のユーザー(自動ボットや雇った人とか)によって偽装の広告クリックを生み出すこと」です。
詳しくは
あなたも騙される?アドフラウド(AdFraud)を3つの論点で徹底解説! | エビスマーケティングカレッジ-EBIS MARKETING COLLEGE
とか読んでみてください。
今回はメディア運営者向けにAds.txtというものが紹介されており、それがゲームチェンジャーになりうるぜ!Yeahみたいな会話がされていましたが、広告主側は関係ないです。
それでは本題の、ラストタッチモデルの終焉そして統合的マーケティングについて
ラストタッチモデルの終焉
そもそもラストタッチモデルとは?
実務でやっている人はご存知だと思いますが、
「コンバージョン(購入とか)をどのチャネルから流入したものの成果とみなすか?」
が結構重要です。
なぜ成果をはからなければいけないのかといえば、マーケティング施策の効果がわからないし振り返りできないからですね。
例えば、100万円広告かけてそれに対してどれくらい購入されたか?どれくらい売上があがったか?を明確にしなければいけません。
100万円使ったのに売上10万円だったら90万赤字ですし、200万円売上上がったら100万円黒字なのでまだまだ広告使えるぜ!ってなります。
で成果をはかるときに問題になるのが、「アトリビューション」という考え方です。
アトリビューションとは、配分と日本語訳できますが、前述のどのチャネルの流入を成果とみなすかの議論をする際に重要になります。
具体例を示しましょう。
例えば、求人サイトを運営しているA社は、「データサイエンス 求人」という検索キーワードに対して広告を出しているとします。A社はSEO対策もしているので「データサイエンス 求人」と検索するとサイトのURLが検索画面に出てくるとしましょう。
あるユーザーBさんが、「データサイエンス 求人」と調べたときに、
一番上に出てきた広告をクリックしてサイトを訪問したとします。今までこのA社のサイトのことを知らなかったのですが、使いやすそうだなと思い、会員登録をして、いくつかお気に入りに登録しました。
数日後、ユーザーBさんは再び「データサイエンス 求人」としらべてSEO流入でA社のサイトに訪問したとします。そこで先日登録していたお気に入りの中から一社に応募するとします。
A社のサイトは応募したタイミングでお金を貰えるモデルだったので、そのタイミングでコンバージョンが発生しました。
整理すると
①「データサイエンス求人」で検索し広告をクリック
②「データサイエンス求人」で検索してSEO流入でサイト訪問しコンバージョン
という図です。
この時、
ラストタッチというアトリビューションをA社が選択していた場合は
ラストクリックという名前が示すように、「最後のタッチポイント」に成果がつくわけですね。
はじめて認知したのは広告にもかかわらず、広告の効果は評価されないわけです。
でもおそらく、はじめて認知したのは広告なのだからおそらく広告についてもある程度評価すべきだよね。というのが普通の考え方でしょう。
しかし、色々とテクニカルな理由から今まではそれぞれのチャネルを考慮するのが難しいのが現実でした。
ラストタッチからマルチタッチそしてDDAへ
上記のようなラストタッチをモデルとした評価だと、本来評価されるべき他のタッチポイントが過小に評価されてしまう。という問題がありました。
そこで、ラストタッチ以外も加味する「マルチタッチ(複数のタッチポイント)」を評価しよう!というのが徐々に進んできました。
日本ではほとんど(おそらく90%以上)がラストタッチを採用していると思いますが、
AdTech NYでのセッションによればなんと「3分の1がマルチタッチを採用している」との発表がありました!!
ここでマルチタッチの難しさを考えましょう。先程の例のように「広告→SEO→コンバージョン」というような二点しかなければ話は簡単です。
それが、「広告→広告→SEO→SEO→コンバージョン」とか「広告→SEO→メルマガ→コンバージョン」というように無数のパスが考えられるわけです。
パスの数=チャネル数^タッチ数
というようにタッチ数の累乗で増えるNP問題となります!現代のコンピュータで解決するのが難しいのは納得感があるかと思います。
※NPとは、現代の古典コンピュータ(量子コンピュータではないコンピュータのこと。スーパーコンピューターを含む)では解くことができない数学的な計算領域のこと
ここに対して、データでアトリビューションを考えようというアプローチ
通称DDA≒Data driven attribution(データドリブンアトリビューション)
というのがGoogleなどによって発展してきました。
以下の図がわかりやすいですね
次の概略的な例では、オーガニック検索、ディスプレイ、メールの組み合わせでコンバージョン確率が 3% になっています。ここからディスプレイが抜けると、確率は 2% に下がります。ディスプレイが介在した場合に 50% の上昇が見られるという結果になり、この値がアトリビューションに使用されます。
このようにラストタッチ以外の値をいい感じに計算してDDAを作成します。
※Googleはシャプレー値という値を元にDDAモデルを作成するそうです。
シャプレー値という貢献度の測り方 - 3日で学ぶ交渉術!ゲーム理論入門
Google以外にもAdobeなどの各社がDDAには取り組んでいて、日本の企業でベイジアンネットワークを用いてみたいな会社もありましたが、なかなかトラッキングの問題などもありうまくいかないのが現実でした。
具体的にDDAをどのように計算しているかは不明ですし、NP問題だから厳密解ではなく近似解なんでしょうが、実務レベルで成果が出るものが先日公開されていました↓
www.ja.advertisercommunity.com
個人的にはデジタルマーケティングの次の時代の到来を感じました。
さらに、ウェブに限らず、オフラインデータ(SalesForceでの営業とか)のデータともコラボできるようなリリースが発表されていて、すごい楽しそうな時代だーと勝手にテンションが上がっていました↓
マーケティングは局所的から、統合的マーケティングの時代へ
ラストタッチからマルチタッチへ変わった世界
このようにテクノロジーの発展(トラッキングやモデリングの発展)によって、本来あるべきマルチタッチでの成果を加味する時代が到来しつつあり、実際それにむけて進化していなければなりません。
先述のように、欧米では3分の1もマルチタッチモデルを採用していてその中でいかに戦うかというセッションが多かったと感じました。
マルチタッチということは、局所最適に広告担当は広告だけ、SEO担当はSEOだけという世界ではうまくワークしないということを示唆しています。
そのためにはより統合的な、複数のチャネルの影響を加味したマーケティングが必要になってきます。
統合的マーケティングに必要なのは人間中心の考え方
マルチタッチでの統合的なマーケティングの時代に何を重視すべきかの話が今回多かったですが、結局のところ「人間中心」というワードに集約されるかと思いました。
UX的な人間中心設計とマーケティング
おそらくウェブマーケティングではなく、いわゆるマーケティングをしている人は当たり前だと思うのですが、ユーザーの思考(インテンション)をいかに変えるかというのを日々フォーカスしているかと思います。
ウェブマーケティングではテクノロジーな話が多く、その部分が軽んじられることも多々ありますが、今後はカスタマージャーニーなどを重視した人間中心でのウェブマーケティングが重要になっていくと感じました。
詳細は割愛しますが、カスタマージャーニーに似た一つの考え方のモデルとして、マッキンゼーがCustomer Decision Journey(CDJ)というのを提唱していて、そのセッションが非常に面白かったので、興味があればググって読んでみてください。
またカスタマージャーニー視点で考えるマーケティングなども紹介されていました。
あまりカスタマージャーニーについて詳しくなかったので色々勉強したのですが、その中では以下のスライドが実践の中で使うにはわかりやすいように感じました↓
本では以下の本が非常に良かったです。
マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方
- 作者: 小川共和
- 出版社/メーカー: クロスメディア・マーケティング(インプレス)
- 発売日: 2017/06/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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今後のマーケターにはUXは必須。UXを学ぶために
結構前↓
データサイエンス学ぶならUdacityのData analyst nanodegre 11月振り返り - 世界を目指すIT少年の学習記録
からSEO観点とかでもUX大事だよねと思ってはいたのですが、今回それをより感じましたし、必須だと感じました。
別にマーケターにかぎらずウェブに関わる人はほとんど(インフラとかは関係ないかも?)必要だとは思っております。
よしやろう!と思ったらとりあえず一気に始めてみるのが僕のスタンスなので、すでに色々本をあさり読み、実際の業務でも生かしはじめております。
その中で良かった本とかがあったので以下に紹介してみようかと思います。
UX本やら学習のためのリソースについて
まだ学びはじめたペーペーですが、少しは色々読んだので紹介してみようと思います。良書や良いコミュニティあるよとかあれば是非教えてください!m(_ _)m
本
初心者用
おすすめ度:★★★★★
はじめて読むならこれが一番良い気がする。幅広くかつわかりやすい
UXデザインのやさしい教本 UXデザインの仕事の実際、学習のヒントとアドバイス
- 作者: チャド・カマラ,ユジア・ジャオ,保坂浩紀,林れい
- 出版社/メーカー: エムディエヌコーポレーション
- 発売日: 2016/06/30
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
おすすめ度:★★
読み途中ですが、まあわかりやすいっちゃわかりやすいものの活用方法があまりイメージつかない。本人と話したいw
おすすめ度:★★★
日本のHCDの協会?みたいなのが出している。学術感がすごいけど初読みは良いかも。
おすすめ度:★★★★★
ちょっとUXとずれるけどビジュアルデザインってどういう観点で構成していくかがわかって面白い。UX的観点もやはりふくむんだなぁって思った
ちょっと深掘りたい人用
おすすめ度:★★★★★
始めて読む本というよりちょっと知ってからの人が良いとは思いますが、何にせよ情報が広い!そして更に学ぶための情報も載っている!
IA/UXプラクティス モバイル情報アーキテクチャとUXデザイン
- 作者: 坂本貴史
- 出版社/メーカー: ボーンデジタル
- 発売日: 2016/03/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (1件) を見る
おすすめ度:★★★★★
著者の方を知っているのでひいき目なところありますが、非常に良書。
UXの中のとくにユーザビリティ(Usability)にフォーカスしているのかな
ユーザビリティエンジニアリング(第2版)―ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法―
- 作者: 樽本徹也
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2014/02/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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おすすめ度:★★★★
UXデザイナーだけでなくプロダクトマネージャーとかが読むべきな本な気もしている
Lean UX ―リーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン (THE LEAN SERIES)
- 作者: ジェフ・ゴーセルフ,坂田一倫,ジョシュ・セイデン,エリック・リース,児島修
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2014/01/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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おすすめ度:★★★★★
UXってかプロダクトマネージャーの本ですが、非常におすすめの名著です!
おすすめ度:★★★★
ユーザーインタビューの具体的な手法をしりたければ一読の価値あり!
ユーザーインタビューをはじめよう ―UXリサーチのための、「聞くこと」入門
- 作者: スティーブ・ポーチガル,安藤貴子
- 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
- 発売日: 2017/06/23
- メディア: 単行本
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おすすめ度:★★★
結構読むのしんどい。けど名著 示唆がきっとすごいんだろうなとは思います。
誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論
- 作者: D. A.ノーマン,岡本明,安村通晃,伊賀聡一郎,野島久雄
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2015/04/23
- メディア: 単行本
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おすすめ度:★★
UX学ぶっていうかこんな会社あるんだ!おもしろ!みたいな文化を考えたい人事や経営者が読むと面白いかもしれない。
発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法
- 作者: トム・ケリー,Tom Kelley,ジョナサン・リットマン,Jonathan Littman,鈴木主税,秀岡尚子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2002/07/25
- メディア: 単行本
- 購入: 44人 クリック: 453回
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サイト
先述の誰のためのデザイン? のノーマンパイセンの講座です。
誰のためのデザイン読むの辛いのでこれ見たほうが良いです。
Googleの有名なデザインスプリントに関する授業らしい。次受けようと思っています。
これも面白そうです↓
今Google partnersモバイル広告認定資格試験のための学習ガイドも読んでいるからそのあとかな
メディア一覧
メディアは色々あるのですが、ちょいちょい読もうかなって思っています。
最後に 一緒に何かやりたい、勉強したい、コラボしたい人いたら気軽にメッセとかください!
最後に、色々やってはいるものの実験的にできる環境が常にあるわけではなかったりするものが会社員の常でもあります。
プロフィール - 世界を目指すIT少年の学習記録 にも書いているように
ウェブマーケティングに関することは、全般的にある程度できます。加えてウェブサイト改善とかプロダクト改善やマネジメント、ちょっとした開発なども経験したことがあったりなど、とにかく色々やりたい人間です。
副業の話でも、そうでなくても、勉強したいとかコラボしたいなんでも良いですが、興味を持ったら是非お声掛けください。
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UX勉強し、サイト改善し、サイト作り、最終的にはアマゾンのジャングルでレストラン開業したい!